2010年12月20日月曜日

在宅診療に行きました

12月も下旬になりもう冬至ですが、今日もぽかぽか暖かい日でした。私の診療所がある香澄ではご高齢の方が多く、自宅でご家族と3世代で暮らしている方も多くいます。お母様が急に膝を痛がり歩けなくなったので、往診してくださいとの依頼で、今日は急きょIさん宅に向かいました。Iさんは94歳ですが、足が少し不自由なことを除いてはとてもしっかりされていて、時には息子さんを叱ることさえあります。

息子さんご夫婦はとても親孝行で朗らかな方です。『なんでそれほどまでお母さんを大事にされるのですか?』とお聞きしましたら、『だって、私たちだってやがて母と同じ道を歩むのですも、ただし長生きできたらですけど。』とお答えになりました。


ニコニコ笑顔のIさんの息子さんご夫婦です。


次に訪ねたのはもうおなじみのタバコが大好きな金❍さんです。今日は8本も吸い終わっていましたので、『あと2本ですよ。』とわざと少し怖そうな顔をして言いました。でもあまり効き目はなさそうです。今日は金❍さんを支えている奥様と息子さんを紹介します。奥様は60年連れ添っている金❍さんをとても大事にされていて、この1年少しの間に金❍さんは3回入院しましたが、いずれも奥様が私に『主人の様子が少しおかしいのですが・・・。』と電話をかけてきます。この少しおかしいと気付くことが大切で、このことは日頃よく身近な方を観察しているからこそできるのです。おかげで金❍さんはどうやらお正月はご自宅で過ごせそうです。在宅医療を受けている方にとって、家族の支えほど大切なことはありません。それでは一人暮らしの方はどうなるのでしょうか。それは近所に住む方あるいは信頼できるヘルパー、訪問看護師がその代りをしてくれるかもしれません。在宅で今後医療を受けたいと思っている方やご家族は、習志野市医師会に所属している、掛かり付けの先生にご相談ください。(香澄の発信局より)




金❍さんの奥様です。

金❍さんの息子さんです、お母様に似てとても優しい方です。

2010年12月17日金曜日

健康診断を受けた後は健康対策は?


今日もまたお昼ご飯を飲み込んで、メタボ健診のこれからを相談しました。この健診は多くの問題点を積み残したままスタートしました。一つは以前には地域のかかりつけの医師の診察を皆さんが受けられましたが、社会保険の人たちは会社の方針により遠方の病院にまで足を運ばないと受けられなくなりました。その結果健診の受診率が著しく低くなりました。これに伴ってがん検診を同時に申し込んで受けていた方は減り、がん検診の受診率も減ってしまいました。次に問題なのは指導体制と受け方です。メタボと判定を受けた方の指導をすることになっていますが、この指導をきちんと受ける方は約14%しかいません。実に80%に人が大切な生活習慣改善のための食生活・運動指導をほったらかしにしています。健診は来年3月で丸3年がたち、後2年は続きますが、一刻も早く改善してほしいと願っています。今日は生活習慣病の王様、糖尿病と健診で判定された人たちを、今後どのようにアドバイスをしていけば効果的か話し合いました。習志野市国保年金課のHさんは 昨年は新型
インフルエンザで大活躍、メタボ健診が行われるときの準備でも東奔西走して、夜遅くまで頑張ったかたです。最初お会いした時には声の大きさにびっくりしましたが、その後の活躍ぶりは働き者が多いことで知られている習志野市職員の中でも5本の指に入るとされています。今後少しでも糖尿病で目を悪くして失明したり、腎臓を悪くして透析を受ける方が少なくなるように日夜頑張っていてくれます。まだまだこの習志野も捨てたものではないなと感じさせられた、肌寒い日差しの日でしたが、心の中は熱くなる一時でした。それにしても、議論する間にシクラメンンがあると、つい心がなごみます。

右は津田沼で開業されている、糖尿病の大家のT先生、左は実籾で開業されている循環器・小児に情熱を燃やすY先生です。少し診療でお疲れの横顔です。






2010年12月16日木曜日

ならしのこどもを守る地域ネットワーク

今日はとても寒い一日でしたね。医師会のお仕事はTVなどで批判的の報道されているような、医師の所得を守るためのものでは決してありません。それ
はこのブログを始めるきっかけにもなりましたが、社会的な役割をきちんと果たす、すなわち医師としての専門性を磨きあげて、社会全体の幸福につながる行動をとることが医師会の役割です。少しカッコつけすぎましたかな。市長からの委嘱状を受けまして、今日はスポーツの1日の予定でしたが、友人の誘いに背中を向けまして、市での会議に参加しました。テーマは『ならしのしのこどもを守る』です。今ほどストレスの多い社会はないとよく言われてきました。このような状況に置かれると弱い立場の人が傷つくことが多いのです。それは家庭におきましては、生後間もないベビーから中高生までの子供たちです。子供の心は純真で真っ白ですから良い思い出は心に深くやさしい思い出を残しますが、一方虐待を受けた体と心は一生大きな癒えることのない傷となって残ってしまいます。このことがまた次の世代の弱い子供たちへの暴力の連鎖となっていくのです。私たち大人は努力して、連携してこの虐待を早期に見つけて、止める必要があります。『児童虐待の対応について』の講演会が平成23年1月30日(日)に消防会館5階講堂で行われますので、この問題に少しでも関心がある方は聴きにきてください。



自宅に帰るとピーが待っていました、いつも希望に満ち溢れた瞳をしています。子供たちもみなこの瞳の輝きが持てるように、皆で力をあわせて明るい未来を築いていきましょう。

2010年12月15日水曜日

はしかの勉強をしました

今日は診療が終わるやいな、駐車場まで駆けっこで走り車に飛び乗って講演会に行きました。まだまだ撲滅できそうでできない麻疹(はしか)と最近大きく変わってきた予防接種のお話をお聴きしました。司会は習志野市大久保で小児科を開業されています、S先生です。S先生は小児診療一般のみならず、感染症とワクチン予防の大家で、私たち習志野市医師会のメンバーはいつもとても頼りにして、心強く思っている方です。講師は国立感染症研究所感染情報センターからY先生がいらしてくれました。Y先生はまだまだお若くはきはきした口調で最近の麻疹の感染流行と、今後どうすればこの世の中から麻疹が撲滅できるか、とても熱い口調でお話ししてくださいました。麻疹は予防接種する年齢が決まっていて、その年齢から外れると自費でお金を払ってうつことになり、約10.000円以上かかります、また将来の進学や留学・就職の際にもうっていないと希望がかなえられないことがあります。また、いまでも毎年犠牲になり落とさなくてもよい命を失う赤ちゃんもいます。中学1年生(3期)と高校3年生(4期)は2012年までの期間に限り無料でうてますから、この機会を逃さないようにまだお済みでない人はお近くの習志野市医師会の先生にご相談ください。


熱い口調で語る感染症情報センターのY先生です。


少しくらいですが、質問している八千代市のS先生です。

2010年12月9日木曜日

産業医巡視をお見せしましょう

12月9日(木)は診療はお休みの日です。開業医は昼休みは長いし、平日も休んでいるし、遊ぶ時間が多くていいなあという声が時々聞こえてきます。それは誤解で、今日も朝5時30分に起床してワンコの散歩を済ませてから、産業医をつとめている会社の巡視に向かいました。働く人が健康で安全な製造作業ができるように、私たち産業医はこのように会社を定期的に訪問して、作業過程で危ないところはないか、作業する姿勢は腰痛は起こさないか、視力や聴力障害
を起こすところはないか見て回ります。最初に全身を清潔な白衣と帽子をかぶり、エアルームで目に見えないほこりを払ってから、工場に入室します。




工場ではこのように流れ作業でベーグルを作っていました。またクリスマスが近いので、大勢の人たちの手で、それはそれは美味しいケーキを作っていました。この会社は基準規格の検定が厳しくて、少しでもケーキのクリームの乗りが悪かったり、チョコレートがはみ出していると製造過程からはずして廃棄してしまいます。私は甘いものには目がないほうなので、思わずつばを飲み込み、一かけらで良いから口に入れたい衝動に駆られます。完成したのは栗が乗っているマロンクリームケーキ、ああお腹が空いてきました。皆さんも聖夜には静かに過ごすのも良し、大騒ぎするのも良し、でもおいしいケーキは食べたいですね。


2010年12月6日月曜日

訪問診療の日です

今日は明日に大雪を控えた師走にしては、とても暖かな日です。午前の診療が長引いて、いつものように大急ぎでお昼ご飯を3分で丸のみして、金❍さんのお宅を訪問しました。机の上には何となく愛着の湧く、ピンク色の灰皿には今回もフィルターに火がつきそうなくらいまで大事に吸われたタバコが2本だけありました。




『あれ、今日は金❍さん偉いねえ、2本で我慢していたのかい。』と私が聞きますと、金❍さんはニコニコして『ひゃひゃひゃ、中を見てくれ、ひゃひゃひゃ。』と答えました。灰皿のふたを開けると、数えてみたら合計7本ありました。『うわー、今日はあと3本ですね。』と私が言いました。『ところで、入院した時は何が一番つらかったの。』とお聞きしましたら、金❍さんは『いやー飯がまずいねえ、それに酒も煙草も飲めねえし。』と答えました。『今年もあと何日もないし、なおさら入院しないようにゆっくりよく噛んで食事をして、タバコは10本までで我慢しなさいね。』と私が言いますと、『ひゃひゃひゃ、この歯で噛めるわけないだろう。』と言って口の中を見せてくれました。そこには歯が1本もなく歯茎だけが桃色に輝いている口の中でした。どうりでおかしな笑い方をするのだなあと気がつきました。1日でも多く、ご自分のそしてご家族のための人生を楽しんでもらいたいと思い、そのお手伝いを今後も続けていくことを、約束して帰路につきました。

2010年12月2日木曜日

医師と言えども病気をしますので




いつも元気に対応してくれる、かかり付けの先生も急な病に倒れることがあります。そんなわけで、私は年に1回は人間ドックを受けて体調のチェックをしています。今日は早起きをして東京のS病院で検査を受けてきました。検査の一番最後には、いつも胃カメラがあります。毎年受けてはいても、少し緊張して
赤い顔をしてカメラを飲んでいます。通常は検査の最中の様子は撮影などしてくれませんが、今日は私が特別にお願いして頼みこみ、看護師さんがカメラマンをつとめてくれました。胃の中には小さなポリープと逆流性食道炎がありましたが、幸いにも今年も胃がんはできていませんでした。検査をしてくれた先生には何回か大腸のカメラもしていただき、痛みもなくいつも親切で丁寧に説明してくださるので、つくづく感謝していおります。普段は医師として検査をしていますが、今日ばかりは患者さんの立場であり、従いましてお気持ちがよくわかります。このことも私がドックを受けて学ぶ目的の一つです。検査が終わってホッとして外に出ると、秋も終りに近づ
いて、ひときわきれいな桜の葉の紅葉とカモメが祝福してくれました。皆さまもドックあるいは健康診断を1年に1回は受けて、健康状態のチェックをして、いつも万全の体調で過ごしませんか。(香澄の発信局)